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卓上旋盤の補強・改良・改造

使っているのは「寿貿易 FL350E(Super)」ですが、同社のFL350E、「東洋アソシエイツ コンパクト9」、それらのベースとなっている「西馬(SIEG) C2」(中華旋盤)に共通な内容の筈です。


はじめに

ミニ旋盤の選定

卓上フライス盤の選定

卓上フライス盤の性能試験

ミニ旋盤の性能試験

中華フライス盤の性能試験

卓上フライス盤の改造

ミニ旋盤の改造・補強

中華フライス盤の改造・補強

ミニ旋盤の切削条件

   

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問題点

○振動

小型旋盤の弱点でしょうね。切削抵抗が大きくなると激しい振動が発生します。
初期状態ではR0.8のチップを使うと旋盤全体が飛び跳ねるような振動が発生しました。

○切削油

滴下式では冷却効果が有りませんから、ステンレス切削ができません。
連続給油の必要が有りますが、デジタル表示部に油材が侵入すると確実に壊れます。


振動対策

 振動対策の基本は

・発生源の解明
・周波数の判定
・除振対策の選定

になります。
要は「補強すれば良いというものじゃない」です。

 先ず発生源ですが、振動周期がキンキンとした音じゃなくガタガタという低周波であることから、ある程度の質量のものがガッチリ固定されているのではなく動いているのか、弱い剛性の部材で長いスパンの先にあるものが揺れているのかであることが判ります。

 長いスパンと言えばベッド。可能性としては捻じれです。
 これは補強ですね。

 固定されずに動いて振動しそうなものは往復台そのもの。
 こちらは調整です。

移動振れ止めの使用

○結果
 効果絶大。
 平バイトの使用も可能ですし、替刃式の薄い突っ切りバイトでも振動無しで切断まで行けます。
 R0.8のチップでも難なく外形削りが出来ますし、ステンレス切削もサクサクと快適に切削できます。
 ただし、使用できる被削材は爪を加工してもφ30程度が限界。

本体の補強

 ゴム足を外し、厚さ19mm、幅200mmのS53Cの板に本体をボルトで固定しました。

ミニ旋盤の補強

○結果

 振動発生は大幅に減りました。
 SS400相手ならR0.8のチップでセンター使用でも振動が発生しまなくなりました。

往復台の補強

 移動振れ止めを付けるネジをそのまま使って□18のS45C(焼入れ)を固定することで補強しました。

○結果

 全く効果なし。
 往復台にたわみは発生していないようです。

往復台の上下遊びの調整

 往復台の前後裏側にある調整ネジを調整し、遊びを減らしました。
 余りやり過ぎると送りネジを駆動する歯車が破損しますから、ほんの少しだけの調整です。

○結果

 多少の効果は有りましたが、振幅を減らしただけでした。
 どうやら振動の主原因はこの遊びのようです。
 もう少し締め込みたいですが、ギアの破損が怖いので無理は出来ません。

刃物台の補強

 低速で負荷を掛けると刃物台が揺れているのが判ります。
 ただ、これは台が揺れているのか往復台そのものが揺れているのかは判りません。
 補強方法を色々と考えましたが、今のところ解決策は無しの状態です。

補強後の切削性能

○アルミ

切削結果 アルミ

 ・径   φ30mm
 ・回転数 400rpm
 ・バイト  スローアウェイ R0.8 サーメット
 ・切り込み  0.5mm
 ・送り   自動送り
 ・切削油 無し
 ・固定センタ使用


○SUM24

切削結果 SUM

 ・径   φ20mm
 ・回転数 1,300rpm
 ・バイト  スローアウェイ R0.8 サーメット
 ・切り込み  0.2mm
 ・送り   自動送り
 ・切削油 水溶性を連続給油
 ・固定センタ使用


○SUS403

切削結果 SUS403

 ・径   φ35mm
 ・回転数 300rpm
 ・バイト  スローアウェイ R0.8 サーメット
 ・切り込み  0.1mm
 ・送り   自動送り
 ・切削油 水溶性を連続給油
 ・固定センタ使用


 いずれも綺麗な面が出ています。
 波打ちや荒れもなく、直線性も極めて良好です。
 使えなかったR0.8のチップが使えるようになりました。

 しかし、円形チップはやはりダメです。
 高かったのに・・・


切削油

注意 デジタル表示は必ず壊れます

 ステンレスを削るなら刃先の冷却は必須です。
 水溶性の切削油を連続給油するしか方法は有りません。

切削油の供給装置
(写真は現在の仕様とは異なります、デジタル表示は浸油して必ず壊れます)

 ノズルはモノタロウで買ったマグネットクーラント(2,580円)にホームセンターの園芸コーナーで買った燃料ホース(2mで600円)を繋いでます。
 写真右下にはチップトレイに穴をあけ、排水用に普通の散水ホースを繋いでいます。


切削油要のポンプ

 こちらは足元。
 緑のホースは復水用のもの、旋盤用とフライス用の2本あります。
 右上に出ているのは給油用です。

 沈んでいて見えませんが、ポンプは光進のバスポンプ(980円)です。
 手元スイッチでON・OFFできるので大変便利です。
 故障しても980円で交換できますから、何万円もする専用ポンプなんてバカらしくて買えません。

 バケツは家にあったものを流用、ホースの固定具は100均で買いました。
 経費総額は5千円弱です。


○結果

 ポンプの流量は充分過ぎます。
 流量はマグネットクーラント側のコックで調整しますが、全開にすれば周囲が大変なことになるくらい流量が有ります。

 ステンレスの切削では絶大な効果が出ます。
 SS材でも良好な結果ですね。
 特に良いのは、細かい切削粉が飛散しないこと。掃除が大変楽ですし、見えない微小粉が指に刺さってイラつくことも軽減できます。
 また、流量を増やせば切粉の洗い流しにも使えます。
 大変便利です。

○要注意事項

・デジタル表示は確実に壊れます。表示部に侵油するだけでなく、
 防水加工しても軸を伝ってセンサー部に浸入し、確実に故障させてくれます。
 ほんの少し滲んだ程度で故障しますから、絶対に使えません。
 このため、メーカーさんからは「禁止」って言われました。

・デジタルノギスを加工してデジタルゲージとして取りつけましたが、防滴仕様のものですら
 一発で故障しました。
 市販のデジタルスケールは防滴ですらありませんから論外です。

・と言うわけで、やるならアナログ表示に戻してからにしましょう。


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